金融日記「藤沢数希」に学ぶ【サルでも分かる資産運用】~「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」要約・感想・書評

こんにちは、係長(@tron_ka)です。

 

私が投資を始めるに際して、とても勉強になった本をご紹介します。

 

「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?

あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方」

※著:藤沢数希(@kazu_fujisawa)

 

今回は、本書から見える

「サルでも分かる資産運用」をご紹介させていただきます。

 

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著者プロフィール

藤沢 数希(ふじさわ・かずき)

国内の某大手大学理数系学科を卒業後、欧米の研究機関にて計算科学の分野で博士号を取得。世界的なジャーナルに多数の学術論文が掲載される。

欧米の大学院でしばらく教鞭についた後、某外資投資銀行クオンツとして就職。

現在、国内外のヘッジファンド等のクライアントや社内のトレーダーのために、金融工学を駆使した計量モデルの研究・開発に従事している。

人気ブログ「金融日記」を主宰。

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/

 

博士時代より、数学の分野で研究の成果が認められた「学術分野での成果」。

外資投資銀行でのクオンツとしての「実務での成果」。

両分野での成果を挙げられている方です。

 

クオンツとは、Quantitative(数量的、定量的)から派生した言葉で、高度な数学的手法を用いてさまざまな市場を分析したり、さまざまな金融商品や投資戦略を分析したりすること、または、その分析をする人を指します。

 

「サルでも分かる資産運用」

→3つの条件が揃ってから投資をはじめる。

1.ギャンブルはいますぐやめる

宝くじやパチンコ、競馬のようなギャンブルはやめましょう。

これらは愚か者に課された税金です。

 

2.借金(住宅ローン含む)は全額返済する

まずは借金を全部返してください。住宅ローンももちろん借金です。投資をするのはそれからでも遅くはありません。

 

3.数百万円以上の資産を持っている

投資は元手がある程度ないと効果がありません。がんばって働いて、せめて数百万円ぐらいは貯めてください。

 

私も、この掟は強く意識しています。

 

ありがたいことに、私はサラリーマンをしながら20代で2000万円以上の資産を持つことができました。

そして、生まれてからギャンブルは一度もやったことがありませんし、借金や住宅ローンも、この先もしません。

 

ギャンブル別が儲からない決定的な理由

→もともと還元率が大きくマイナスだから

 

藤沢氏は本書で次のようにいっています。

 

「ギャンブルはやらないほうがいいと忠告します。投資も投機もギャンブルも全部確率のゲームなのですが、宝くじや競馬といったギャンブルは、ゲームとして全然割に合わないからです。」

 

では、実際にそれぞれのギャンブルでどれくらいのリターンがあるか見ていきましょう。

 

丁半博打の還元率=95%

→1万円賭けると9,500円返ってきます。


丁半博打と言うのは、ヤ○ザとかが胴元になって、サイコロを二つ振って、出た目の合計が偶数か奇数かを当てるゲームです。

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サイコロを振る前にお金を賭けて、外れたら全額没収で、当ったら賭けたお金の同額から寺銭(テラセン)を引いたものが貰えます。
寺銭とは賭博場を運営する胴元に納めるお金で丁半博打の場合10%が相場のようです。

 

【計算式】

100% ×0.5(奇数か偶数か当たる確率) + 90%(寺銭10%を引いたリターン) × 0.5(奇数か偶数か当たる確率) = -5%

 

この場合は期待できるリターンが-5%となり、1万円賭けると平均的に9500円戻ってきます。

 

同じ計算式で現代行われているギャンブルを見てみると、

丁半博打の還元率がかわいいものに見えますね。

 

競馬の還元率=75%

→1万円賭けると7,500円しか返ってきません。

 

宝くじの還元率=50%

→1万円賭けると5,000円しか返ってきません。

 

このように、ギャンブルはもともと負けることが確実に決まっているゲームです。

まずは、ギャンブルを辞めることから始めましょう。

 

 

 

結論:3つの条件が揃っていれば、

長期国債分散投資がオススメ。外国株式、日本株式、外国国債、日本国債にインデックス・ファンドを利用してバランスよく投資する。

 

先ほど挙げた下記3つの前提条件を満たしていれば、

1.ギャンブルはいますぐやめる

2.借金(住宅ローン含む)は全額返済する

3.数百万円以上の資産を持っている

 

長期国債分散投資に挑戦してみましょう。

藤沢氏が本書でオススメしているのは、インデックス・ファンドです。

 

ファンドの運用方法は大きく2つあります。

1.アクティブ運用・・・アナリストが個別の会社を分析したりして、積極的に儲かりそうな会社や、産業セクターなどに投資する。

2.パッシブ運用・・・あらかじめ決めておいたルール通に証券を購入して、放置しておく。既存のインデックスそっくりに証券を買うインデックス運用のことです。

 

アクティブ運用してしまうと、コスト(手数料)分だけマーケットに負けるので、長い目で見ると、アクティブ運用=インデックス・ファンドの方がいい成績を収めます。

 

藤沢氏が本文でアクティブファンドとインデックスファンドについて次のように説明しています。

 

「アクティブファンドは平均するとサル以下の成績になります。そして、市場の効率性をフルに利用できるインデックス・ファンドが優れた成績をおさめることができるのです。つまり、インデックス・ファンドを優位にするための莫大なコストは、すべてアクティブ・ファンドの投資家により支払われているということです。インデックス・ファンドの投資家は、市場参加者の血の滲むような努力と多大なコスト負担にタダ乗りできてしまうのです!」

 

まとめるとインデックス・ファンドのメリットは次の通りです。

1.市場はかなり効率的である。

2.インデックス・ファンドの手数料や信託報酬などのコストはアクティブ・ファンドに比べてかなり安い。

3.買って、後はほうっておけばいいので、自分の時間を使わずにすむ。

 

本書でオススメされているインデックス・ファンド

・日本の株式市場の縮小コピーを買いたい場合

TOPIXのインデックス・ファンドかETFを買う。TOPIXのインデックス・ファンドは、三菱UFJ投信が運用するトピックスオープンなど、さまざまな投資信託が販売されている。

ETF(Exchange Traded Fund)とは、ファンドそのものを株式市場に上場させてしまい、株と同じようにリアルタイムで売買できるようにしたいもの。野村アセットマネジメントが運用するTOPIX連動型上場投資信託などが、流動性も豊富で手軽に投資できる。

 

・世界の株式市場に投資したい場合

MSCI-Kokusaiに連動するインデックス・ファンドを買うことができます。ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン中央三井外国株式インデックス・ファンドなど、個人が簡単に購入できる投資信託が売られている。

 

・世界の債券市場に投資したい場合

シティグループ世界国際インデックス(除く日本)というインデックスに連動するインデックス・ファンドがいい。具体的には、中央三井国債権インデックス・ファンドという商品がある。

 

・日本の国債に投資したい場合

個人向け国債を購入する。

 

インデックスにどういう割合で投資すればいいのか?

様々な実証研究によると、資産運用がうまくいくかどうかの90%以上が、個別の銘柄選択ではなく、アセット・アロケーションで決まってしまいます。

 

株式市場への投資は便利なインデックス・ファンドを利用する。

日本株へ投資したい場合はTOPIX、外国株に投資したい場合はMSCI-Kokusaiに連動するインデックス・ファンドを利用する。

そして、日本株と外国株の比率は、現代ポートフォリオ理論に従って、日本株と外国株の時価総額の比率で組み合わせるのが良い。

 

TOPIXMSCI-Kokusai = 15:85ぐらいが良い。

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世界の国債などの資産クラスにも投資したほうがさらに分散効果でリスク低減できます。

海外の国債に投資するには、シティグループ世界国債インデックス(除く日本)に連動するインデックス・ファンドが購入できます。

理想的には、日本と海外の不動産、社債、それに発展途上国などにも投資したいところです。

 

MSCI-Kokusaiは海外の先進国の株式市場を表すインデックスファンドなので、BRICKs(ブラジル、ロシア、インド、中国)のような発展途上国をカバーしていません。

 

これらの資産クラスに安いコストで投資できる金融商品は、現在のところほとんどない、または相当な資金量が必要ですので諦めるのが無難です。

 

リスクを積極的に取りたい場合

→外国株と日本株の比率を高くする。

 

リスクを避けたい場合

→外国国債、日本国債の比率を挙げる。

 

さらにリスクを下げたい

→日本国債の割合をさらに上げる。

 

これらの具体的な運用な比率はありませんが、

藤沢氏は、以下の割合でアセット・ロケーションされているようです。

外国株:日本株:外国国債:日本国債=85:15:50:0

 

ここで注意ですが、最近はアセット・ロケーションをプロがやってくれる「資産分散型」という投資信託が流行っていますが、親ファンドとその下のファンド・オブ・ファンズの2構造になっています。2重に運用手数料を取られる仕組みになっているので、避けましょう。

 

感想

本書を読んで、投資における「やってはいけないこと」「リスク」を数字で把握することができました。一般的な投資本では、「◯◯が儲かる」といったことが中心に書かれています。

一方で、本書では基本的に「投資するくらいなら、頑張って働け」というスタンスであり、なぜギャンブルや投資・投機で損するかが記述されていました。

 

投資初心者は、うまい言葉に乗せられて安易に金融商品を購入してしまいますが、本書を読むことで、「疑ってかかる」思考を身につけることができます。

 

私自身、本書の考えを身につけることで、これまでの投資では基本的に損を出すことなく、日系企業のサラリーマンをしながら5年間で約3000万円の資産をつくることができました。

 

ちなみに私は、本書で紹介されているインデックス・ファンドの購入・運用にロボアドバイザーのWealthNaviとTHEO(テオ)も利用しています。

 

 

今後も、本書で身につけた思考で資産運用していこうと思います。